<概要>
工事範囲の周辺は住宅、商業施設が密集する市街地で、工事ヤードは限られており、営業中の鉄道線路に近接した狭隘なスペースの中で、全ての作業を行う必要がある。そのため、鉄道施設、周辺の建物、道路施設、電柱、架線、埋設物等の現場状況を十分に考慮した安全管理を行うため、事前に3Dスキャナー計測により現場周辺の状況を一括して3Dデータ化して、施工検討に活用することを行った。現況を3D化したデータ(点群データ)に、新設構造物の3Dモデルを重ねることにより、設計、施工上の問題点を抽出することができた。
<活用方法>
現場周辺の3D化にあたり、詳細な施工検討に活用するためには数mm程度の精度が必要と判断し、±2mmの精度での計測が可能な据付型スキャナ「Faro Focus3D X330」(写真1)を活用し計測を行った。計測したデータは、統合ソフト(Autodesk Navisworks)に読み込み、新設する構造物の3Dモデルを重ねて、既存の構造物や、鉄道施設との干渉を確認した。さらに、点群処理ソフト(Trimble Realworks) を用いて3Dモデル上での距離計測を行い、離隔寸法などを計測した。
<特徴>
直射日光下でも、最大330m離れた場所にある対象物をスキャンできた。
GPS受信機の搭載により、個々のスキャンのつなぎ合わせは測量ベースの用途に最適なものとなっていた。
<効果>
従来の計測と比較して計測および後処理にかかる労力を大幅に削減できた。
作業間連絡調整や工程管理を電子化することにより、作業の効率化や安全意識の統一化にも活用できた。さらに、現場にICT機器を導入することにより、可視化を行い、目の錯覚や見落とし、検討すべき事項の抜けや忘れ、図面の重ね合わせミスなどのヒューマンエラーによる事故を未然に防ぐことができた。
3Dデータをクレーンの作業計画(写真2)、作業手順書等(写真3)に活用し、3次元で可視化することで、工事関係者間の情報共有促進、施工に対する理解度の向上にもつながり、工事の安全、品質の確保に大きく寄与した。
軌道の位置を中心に、正確に位置関係を把握するため、線路両側の側道と跨線橋上の数十箇所で据え付けた三脚上に3Dスキャナを設置して昼間に計測を行った。
登録番号 | 5-8 |
---|---|
活用分類 | 無人化・省力化/機械センシング |
適用工事 |
|
作業 | 測量作業(現場周辺状況を計測し、3Dデータ化を行う。) |
価格等 | 600~1,000万円(3Dスキャナ設置費用) |
活用実績(件数又は現場数) | 約20現場 |
特許・実用新案 | 特許:無 実用新案:無 |
当該技術所有企業 | [技術の所有権] その他:(FARO社の3Dスキャナのデータをソフトウェアに取り込んで活用する技術) [販売] 他社:(クモノスコーポレーション㈱) |
掲載日 | 2019年9月30日 |
【カテゴリ】
鹿島建設株式会社 関西支店 阪急淡路JV工事事務所
当協会は、当サイトに最新の正確な情報を掲載するよう努力しますが、この情報の正確性、安全性、適切性について責任を負わず、保証するものではありません。
当サイト及び当サイトからリンクされているサイトへのアクセス及び利用する方は、自己の責任及び善良なる管理者の注意義務に基づき利用することに同意したとみなします。
当協会は、当サイト及び当サイトからリンクされているサイトの利用、アクセス又はアクセス不能の結果生じる損害及び当サイトの情報の誤謬を信頼した結果生じる損害について責任を負いません。
当サイトを活用して行う建設工事については、いうまでもなく、各事業者において、法令遵守、安全第一をもって工事の施工を行ってください。