リアルタイム洪水予測システム「RiverCast」

[ICT研究開発事例]リアルタイム洪水予測システム「RiverCast」

概要・活用方法

概要:河川水位の観測値と気象庁の降雨予報から、対象地点の水位を15時間先まで予測する。予測はクラウド上で計算し、予測結果はWebブラウザで確認可能。ユーザーが設定したしきい値に水位が到達すると予測された場合、通知メールを送付可能。しきい値、通知先のメールアドレスをユーザーで設定することが必要。
水位予測地点の水位計の過去データ、気象庁による降雨予報をもとに予測地点の予測誤差を含めた水位予測モデルを構築する。必要に応じて周辺域の水位計のデータを予測モデルの構築に考慮可能。なお、予測モデルは地点ごとに作成が必要であるため、導入時に地点選定を行う必要がある。
水位予測地点は、導入時にユーザーが指定した国・県管理の水位計位置、もしくはユーザーが設置する水位計地点となるが、過去数年間の連続した水位観測データが有ることが望ましい。雨量データは、予測対象となる地点に雨が流れ込む範囲(集水域)をカバーするように気象庁メッシュデータを利用する。ユーザー設置の水位計情報以外のモデル化、予測に必要な情報(降雨予報、水位計水位)はすべてシステム内で自動収集する。ユーザー設置の水位計地点での予測の場合、リアルタイムに水位計水位情報をシステム連携するためのカスタマイズが必要となる。

活用方法:予測結果はPC、スマートフォン、タブレットなどのWebブラウザで確認できる。同内容をメールで配信可能。(図1)
確認可能な結果は以下の通り。
- 予測地点の水位(実測値・予測値)
- 任意地点のメッシュ雨量(実測値・予測値)
- ユーザーが設定した水位のしきい値を超過する確率
設定水位を超過する予測が出た場合に、ブラウザからビープ音、登録アドレスにメール送付することで警告可能。
予測結果はAPIでも取得可能なため、外部システムからのアクセスも可能である。

特徴・効果

- 気象庁の予測や警報の発令よりも早くピンポイントに大規模な出水を事前に予測し通知することで、河川工事や、その他浸水の恐れのある工事現場での重機・人員の退避のリードタイムを確保でき、避難の遅れにより取り残されることや河川へ転落すること、溺れること等を防止できる。
- ユーザーは、現場の作業者の意見を取り入れて作業可否の判断や避難判断を行う水位レベルを設定できるため、迅速な意思決定が行える。例えばしきい値の名称を「氾濫危険水位」といった一般的な名称だけではなく、工事現場で使われる名称で自由に設定することができる。
- 水位・雨量データのみから予測モデルを構築でき、中小~大河川まで適用可能。現地の測量調査などは必要ないため、短工期の工事にも適用可能。
- 力学系理論に基づいた非線形時系列解析を採用し、AIが苦手とする未経験の出水規模も予測可能。なお、本分析時にユーザー側で入力が必要なパラメータは無く、提供元でモデル制作まで行う。
ー 近年AIモデルではディープラーニングが著しく発展しているが、大量のパラメータに対するフィッティングが必要であり、一般に少数のデータしか得られない洪水データに対しては十分な精度を発揮することは困難である。一方、「RiverCast」では少数のデータを対象として開発された予測手法をベースにしており、比較的少ないデータからでも十分な精度を発揮する。
- 定期通知メールとアラート通知メールを、指定したタイミング及び、水位の上昇が予測されたときにメールで知らせることができ、日々の安全管理や定例会議に利用できるだけでなく、作業中に見逃さないようにできる。

活用上の注意点

・土石流による労働災害の防止に関する規定(安衛則575条の10)に基づき、降雨量に関する情報等、各事業場において具体的な降雨量の把握方法を定めておく必要がある。(平一〇・二・十六 基発第四九号)
・予測に気象庁による降雨予報を使うため、予報雨量の誤差により水位予測にも誤差が生じる可能性があるが、予測モデル構築時に降雨予報がどの程度の誤差を持つかについてもモデル化し、誤差の軽減を図っている。
・建設現場近隣にある国・県管理の水位計位置を採用する場合、当該現場の水位を直接予測することはできないので、予測地点の予測結果に対する判断方法(例:上流の越水が予測されるため、下流に位置する工事現場も危険と判断する 等)を予め定める等、運用側でカバーする必要が生じる。
・降雨予報は6時間以降から予測に誤差が生じやすくなる。
・作業可否等の判断材料として、予測のみならず常に最新の観測情報(10分水位)や、そのほか気象情報を参考にすること。
・安全側のしきい値設定を行う必要がある。
・PC、スマートフォン、タブレットなどのWebブラウザやメールの確認を怠らないようにする必要がある。
・通信環境が悪いと利用できない。

自社で開発/改良したい技術

水位計がない地点での水位予測開発手法の実装。

対象とする主な対策(本質安全化)

  • [危険作業対策]災害復旧工事/橋梁点検作業
  • [職場環境改善・メンタルヘルス対策]生産性の向上/不安全行動の抑止/心身の健康確保/その他
登録番号 47-1
活用分類 無人化・省力化/人・行動センシング/能力支援等
適用工事
  • 【土木工事】
    仮設工事/基礎工事/道路工事/橋梁工事(架設工事)/河川及び海岸工事/ダム工事/水力発電所等建設工事/鉄道軌道建設工事/砂防工事/上下水道工事/その他の土木工事
  • 【建築工事】
    建築工事全般
作業 天候に左右される土木工事及び建築工事
特許・実用新案 特許:申請中
実用新案:無
第三者評価・表彰等 特許:特開2019-159506
当該事例紹介ウェブサイト https://www.weather.kke.co.jp/
掲載日 2021年2月 4日

【カテゴリ】

  • [活用分類]無人化・省力化/人・行動センシング/能力支援等
  • [土木工事]仮設工事/基礎工事/道路工事/橋梁工事(架設工事)/河川及び海岸工事/ダム工事/水力発電所等建設工事/鉄道軌道建設工事/砂防工事/上下水道工事/その他の土木工事
  • [建築工事]建築工事全般
  • [抑止可能なリスク(災害の種類)]崩壊/激突され/おぼれ/その他
  • [危険作業対策]災害復旧工事/橋梁点検作業
  • [職場環境改善・メンタルヘルス対策]生産性の向上/不安全行動の抑止/心身の健康確保/その他
  • [ICT関連]AI/タブレット・スマートフォン/ソフトウェア・アプリケーション

企業情報

株式会社 構造計画研究所 エンジニアリング営業部

ご担当者名
西條 裕介
お電話でお問い合わせの方は
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