このシステムは、画像解析AIを用いて、重機に取り付けた単眼カメラの画像から重機周辺の危険区域内にいるヒトを瞬時に検知し、警告音、ライト点灯、モニター表示等でアラートを発報するものである。(図1)
建設現場で発生する災害のうち、重機接触災害が占める割合は2割に上る。特に、狭い作業空間内で複数の重機を稼働させる山岳トンネル現場では、重機と作業員との接触をいかに回避するかが安全管理上の大きな課題となっている。
すでに存在する重機接触災害防止対策の技術としては、複眼のステレオカメラを用いてヒトの検知と重機からの距離推定を行うシステムがある。しかし、導入コストが高く、屈んだ姿勢のヒトを検知するのが難しい。
しかし、今回開発したシステムに組み込まれているAIは、ヒトが取る様々な姿勢の骨格を機械学習させているため、画像中のヒトの体が一部しか映っていない場合や不動であっても、その存在を検知することができる。(図3)
最大の特徴は、画像解析AIに組み込んだ骨格推定アルゴリズムにより、カメラ画像に映り込むヒトの関節の動きから頭や腕、足などの骨格をリアルタイムに推定し、時々の姿勢、ポーズまで認識できることである。これによって従来では検知することが難しい屈んだ姿勢のヒトなどを検知でき、重機との距離を推定できる。また、コンパクトかつ安価な単眼カメラで高価なステレオカメラ並の距離推定精度(平均誤差13㎝)を確保できることも大きな特徴となっている。
検知したヒトと重機の距離は、推定した骨格から得られる足下の位置を基準に求め、距離が5m以下になると、スピーカーと高輝度LEDライトにより作業者と重機オペレーターに警報を発し、接触災害が起こる前に回避行動をとることができる。
9割を超える高い精度で人を検出可能であると確認した。
建設現場では人と重機が同じエリアで協働するため、人の作業エリアと重機の作業エリアを完全に分離することはできない。本システムは距離に応じたアラート機能により接触災害リスクの軽減された範囲では協働作業が可能となるため、人と重機の協調安全(Safety2.0)の考えに基づいた安全支援システムである。
・実証試験では高い検知精度ではあるが、100%ではないので、誤検知される場合がある。
・カメラの死角から飛び出してきた人と重機が接触するなどの可能性があるため、AIによる確認に過度な依存はせず、目視での確認も怠らないようにする。
登録番号 | 19-13 |
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活用分類 | 人・行動センシング/機械センシング |
適用工事 |
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作業 | 山岳トンネル現場での重機を用いる作業 |
特許・実用新案 | 特許:有 実用新案:有 |
当該事例紹介ウェブサイト | https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2020/2020013.html |
掲載日 | 2021年2月 4日 |
【カテゴリ】
清水建設株式会社 土木総本部土木技術本部 イノベーション推進部
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